2017年の個展が終了しました。
お越しいただいた皆様に心からの感謝を申し上げます。
今回の個展へ向け、私なりに課題を抱き制作していました。
第一は、定まることなく浮遊する不定形と、絶対的な円形との間に、何らかの関係性を結ばせるということ。
第二は、長く続いた白・黒・灰の無彩色での表現からの脱却でした。
いずれもどうにか課題と向き合い、更なる探求の端緒をつかむことができたかと思います。
今までは円形の周りを不定形が漂い、それぞれの対比によって絵を構成してきました。しかし前回の個展で互いの分離を痛感し、その関係性を考え直す必要が生じました。
今回モチーフとした不定形である白波が、ちぎれたり結ばれたりしながら、全てが満ちた円の中に消え同化してゆく・・・そんなイメージで今回は制作しました。私にとって漂う不定形とは、私自身の比喩でもあります。不定形と円との結びつきについて考えるということは、私自身がより能動的に世界と関わろうとすることを意味します。
無機質なモノクロームではなく、色での表現へも一歩踏み出せました。私にとって色とは“情”だと思います。色を扱うことは、感情的で主観的な行為です。テーマを探るため今まで禁欲してきた色の助けを、これから借りていきたいと思います。
“なびす画廊”での発表も最後となるため、今回は表現を一歩先に進めたいと強く思っていました。“なびす画廊”は見通しが良く開けた空間であり、作品と静かに正対できる場でした。そして画廊経営者に励まされ育てられる環境でした。改めて感謝を申し上げます。
次回の個展は来年、青山を予定しています。