2015年の個展が終了しました。
今回の作品のモチーフは煙です。
とどまることなくたゆたい、うたかたに消え去ってゆく存在として、 私の現在の、妄想、煩悩としての意識の流れの暗喩として扱いました。
焚いたお香に目を凝らし、撮影した画像を参考に描いています。
以前の、頭の中で作った流体では、どうしても型に嵌った表現となりがちだったため、 一度じっくり観察して描いてみようと思った次第。
主題である円は、空っぽな虚ろな穴であると同時に、 全てに満ち溢れる広大な球にも見える、絶対的な存在として意図しています。
今回は画面に円が丸々入っている作品はなく、全て切れています。 円の、形としての強さを改めて感じ、丸ごと入れづらくなりました。
しかし画面からはみ出させることで、今までより大きな円が扱え、 画面外部への拡がりも感じられることに気付きました。
ゆらめく意識の流れとしての煙は、絶対的な円を仰ぎながら、 いまだその周辺を鈍く、遠巻きに逡巡することしかできません。
とりあえずはそのような現状を認識し、相互の対比を表現することを意図しました。
煙の流体を、より自由で軽やかに。
そして円と流体との絡みを探ること。すなわち絶対的な円と意識が接する端緒を得ること。
今回果たせなかった課題です。