10月の個展出品作品を「作品一覧」ページにUpしました。
お忙しい中、個展にお越し頂いた皆様には心からお礼申し上げます。
画面の中の円、
その円が私の作品に初めて現れたのは2007年のことです。
深く考えた末に導入した……というよりは、ぽっと生れてきた感じでした。
それまでは絵の具をたらしたり、流したりすることで、
“流動感”や“浮遊感”を描きたいと思っていました。
流されている感覚の“流動感”や漂っている感覚の“浮遊感”とも共通する、
受け身で虚ろな感覚の“空虚感”を表すために、
“ぽっかりと空いた心の穴”をそのまま形にしてみたら……
と思って単純に取り入れてみたのが最初です。
最初は単なる“空虚”な穴のつもりでしたが、
何も絵の具が載らない画面中央の円は非常に存在感が強く、
この不可思議な円に憑りつかれてしまいました。
何も描かれない円は見方によって様々に読み取ることができ、
何もないけれども多くを含んだ存在として扱うようになっていきました。
多分、私がこれからしなくてはいけないことは、
単に空虚だった穴を、多くの想いや言葉で語ることのできる円に、
更に、多くの想いや言葉を超えた“空なるもの”に変化させていくこと……
だと考えています。
この円が何ものなのか、まだ先は見えません。
が、豊かなもの、である感触があります。