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2009年個展 中空の円

2009年個展のタイトルは、昨年の個展同様、「中空」です。
今回も、画面の中心には、ぽっかりと円が開いています。
今、展示作品を前にして思うのは、
その円の意味合いが今までの作品から少しずつ変わってきたのかな、
ということです。

見る人に様々な解釈を委ねる多義的なものとして円を描いてきましたが、
その円が、何もない空っぽな空間とだけ感じさせることもありました。
これまでは、円の周りの絵の具の流れのほうに意識があったのです。

しかし、少しずつ円の表現(実際は描いていないのですが…)に意識が向かうようになり、
それは、絡みつく流れに “包まれ、守られ、あるいは隠されてもいる何物か” になりつつあります。
空っぽであると同時に、全てを満たした中心です。
月や太陽やのぞき穴を容易に連想できるでしょうし、日の丸とも読み取れます。

見る人の想いを誘う鏡となり得るよう、表現をより深めていきたいと思っています。